ボーカロイド学園
私はいつもどおり目覚める。そして、声をかける。 「おはよう、リリィ」 でも返事がない。早起きのリリィにしては珍しい。しかも高等部の入学式なのに。 「・・・?」 起き上がってリリィのベッドを見るものの、誰もいない。お散歩?と思ったが、リリィの机…
「うへえ、私だけぇ?」 「ミク、頑張って」 「うぅ・・・」 この学園は勉強熱心ではないため、特に成績の悪い者のみ夏休みに補習があるのだ。ちなみに始業式は9月になってから。 私はなんとか補習に通う。(夏休み中はネルたちの部屋に泊まらせてもらって…
神威がくぽ、36歳。4月からテトと入れ替わるようにニートとなってしまった。カイトが元々住んでいた家を譲ってくれたから助かった。なにせ、今まで黙っていた両親が「家を出ていけ」と拙者に突然言ったのでござるから。 「ところで、がくぽ。僕を何で呼び…
「テレビに出れるよ~」 マネージャーの琴葉葵さんがそう告げ、入ってきたのは2枚目をどうするかと話し合っている最中だった。 5月。少し鬱(いわゆる五月病?)なテトさん以外目を輝かせた。 「おおっ!」 「デビュー曲がかなり売れたから今度出してもら…
「レンくん~!」 マユがレンくんにくっついてる。私は寝不足でくっつかない。 「リリィ!どうしたの?テスト、自信ない?」 「う、うん・・・まあね」 「ん、でも大丈夫だよ!」 「とにかく寝させて・・・」 変なの、とマユは呟きレンくんの元へ戻った。 最…
「レンくん!今年も一緒だねっ」 「あ、うん」 「・・・レン?二股しないでね」 「リン、そんなことしねえよ」 「ふふっ、冗談だって」 私はいい気分じゃなかった。マユに対するレンくんの反応がどんどん変わっていく。マユのことを好きになってる。やだっ・…
ルカ先輩がいなくなった。大学部に進学しない生徒の荷物が寮から消えた。あたしは少し寂しい。 「うへえ、あたし3年生になったら先生のクラスなんですか?」 「文句言わない。僕は嫌かもしれないけど、友達がいるでしょ」 「うーん、そうだけどさ」 「では…
パーティの食事は全て、ミキ会長が用意してくれることになった。最初は「え~私の料理、ピコ君のためなんだけど・・・」とぼやいていたものの、「ミキちゃんの料理、美味しいからみんなにも食べてもらいたいよ♡」「ピコくん♡」「馬鹿じゃねえの?」となり、…
今日は卒業式。終わったら、生徒会メンバーとお別れ会をすることになっている。 「思えば私、クラスメイトに何にも誘われてないわね・・・」 生徒会に誰も参加したがらなかったのは、私を皆が高嶺の花として尊敬しすぎたということからというのもだいたい分…
「今年も年に一度の辛い日がやってきたでござる」 「はいはい。義理チョコもってきてやったわよ。義理をね」 「あ、あんまりでござる」 「朝から人んちに押しかけておいて・・・!何様じゃあ!」 「テト殿~落ち着くでござる~」 「テトはチョコ作れないんだ…
「めーちゃん、教師なのにそんなに飲んでたらまずいよ」 「いいって」 「飲みすぎですよー!」 「CULの言うとおりですよ。私もそう思います」 私やカイト、がくぽは「U」のメンバー(重音テト、CUL、健音テイ、巡音ルカ)と共にこのクリスマス会を楽…
「リツくん!」 「ぼくはおんなのこだ!」 「えー」 わたしの名前は歌愛ユキ。おひめさまなの。今日はリュウトくんがお休み。少しつまんない。 「リツくんにはこんやくしゃっているの?」 「は?」 「ユキはね、キヨテル先生なの。でもリュウトくんが好き」 …
私はもうすぐ大学生になるというのに、希望する学科が見つからない。あの子が私をかばって事故で亡くなるまでずっとついていったのが悪かったんだろう。頭痛がする。 「ルカさん、書けましたか?」 「あ、まだです・・・すみません」 「パンフレットを読んで…
無事、マユの件も落ち着き学園祭準備が始まった。私はクラスでやりたいことがあった。 「名付けて!女装メイド喫茶よ!」 「せ、先生!それって先生が考えることじゃあ・・・」 「はい、決定!ミクさん、家庭科好きならお洋服よろしくね」 「ええっ!?」 「…
僕は朝からアイスを食べながらのんびりしていた。今日は始業式。職員室では他の先生が忙しそうにしている。 「カイト!転入生よ!」 「・・・めーちゃん、何?」 「初めまして!マユです」 「2-Aにこの子入るらしいからよろしく」 「え、ソニカ先生は?」…
吹奏楽部、県大会にも行けず。それは私にとってとてもショックだった。 幼い頃から多忙な両親に褒めてもらうべく磨き上げた私の音感が崩れるような音さえした。 「先生、大丈夫ですか?」 「あ、ああ・・・。大丈夫よ」 吹奏楽部の部員も泣いている。この弱…
「グミさーん、めーちゃんが呼んでるよ」 「バカイト、その呼び方はやめて」 高等部の先生に呼び出しされるなんて思ってもみなかった。私は何事かと急いで行った。 「あなた、不正でBに上がったんでしょう?ルカたちから聞いたの。別に怒りはしないけど、こ…
「今月のランクUP者は・・・グミさんです!」 わけのわからない先輩になだめられてあたしは少し大人しくすることにした。先公にも伝わったらしく、その数週間後である昨日には復活した。 でも、今のは聞き捨てならない。月末に必ずある学力テスト。音楽の…
翌日。眠気を抑えつつ学校に向かう。足取りは軽い。 いきなり2人も友達ができた。でも2人は寮生だとかで私と一緒に登校できない。 「ふう・・・。あ、1番か」 早く来すぎたみたい。なのでカバンから分厚い学園専用・音楽の教科書を取り出して開く。凄い。…
私は学力の問題で担任からこの璃々杏学園という不思議な学園を紹介された。音楽に力を入れている学園だから音楽の成績が優秀なお前なら合格するだろう、と言われた。ふん、どうせ私は音楽以外はダメダメですよーだ! でも問題はここに入学してきた高校生のほ…