神崎美柚のブログ

まあ、日々のことを書きます。

VOCALOID学園 第24話「会長は誰!?」

「後はよろしくなのでーす」
「なのでーす」
  ミキ先輩たちが生徒会を仲良く引退した。
「やっと馬鹿が消えたぜ」
「ダン、タバコだめだよ」
「シガレットだっつーの」
 ただ、問題なのは会長。ハクもネルも鳥音も目をそらしている。
「ミ、ミクが適任じゃないかな」
「そうだよ、うん」
「わ、私も書記以外やりたくないなっあはは」
 押しつけられた。これであと校内票が半数以上入れば確定・・・。ああ、最悪。
「リリィちゃんたちは続けるの?」
「私、ですか?いいえ。もういいですよ。メルちゃんもいますから。私は大人しくしたいので」
「ああそうなんだ」
 にこりと笑い、リリィちゃんは出ていった。
「もう一人の馬鹿もいなくなった、と・・・」
「だーかーらダン、タバコは」
「シガレットだっつーの!」
「?」
 ナオくんもぼやあっとした顔で座っている。
「でもデル兄もいなくなるから男子足りないね」
「あれ、そういやデルさんは?」
「デルさんなら海外旅行らしいよ」
「デルさんって生徒会の方ですか?」
「うん、そうだよ」
 わちゃわちゃしていると、メイコ先生がやってきた。大きな箱を伴って。
「ミク!いい知らせよ!あなたが文化祭事件で活躍したから会長になれるわよ」
「・・・え?」
「ほら。この量!全生徒の内無関心な奴とか以外ほとんど全員が入れてくれたわよ~!」
「ひぇぇ」
 カイト先生がひょっこり顔を出す。
「頑張ってね」
「うぅ・・・」
 リンちゃんたちもなぜかやってきた。
「B組もやれば出来るってのを見せつけなきゃね」
「そうですよぉ」
「確かに~」
「にゃあ」
 すると廊下から大声が聞こえてきた。
「キーヨーテール!」
「きえええええ」
 なぜ特別棟にまで・・・。
「ミク先輩!ユキは10票入れましたよ!えへへっ!ではっ」
「4年生でおっかけっこねえ」
「メイコ先生、彼女はまだ十分子供ですよ」
「そうね、そうかも」
 

VOCAOID学園 第23話「疑惑の文化祭」

「理事長、今年も成功させます!」
「おお、任したぞ」
 私たちは文化祭が始まる前に理事長の部屋へ。理事長は笑顔で迎えてくれた。ミキ先輩の挨拶が終わり部屋を出た。
「ピコくん、緊張したよ~」
「ミキちゃん、大丈夫だよ。いつも可愛いから」
「んもう、ピコくんってば」
「・・・」
 廊下をすれちがう人の目が、痛い。やめてください先輩。
 オープニングを成功させると、理事長が走ってきてミキ先輩の頬をいきなりたたいた。
「キャッ」
「ミキちゃん!理事長、何ですかいきなり」
「君らのほうこそ何してくれるんだ!」
「はい?」
「私の大事な宝石が盗まれたんだ!君らが最後だろう!?君らが犯人だ!じきに警察も・・・」
 するとピコ先輩がムカついたのか、理事長に対して叫ぶ。
「僕の彼女をいきなりたたくのはヒドいです!たたくなら僕にしてくださいよ!!」
「それに私たちは犯人じゃないですよ!ほら」
 2人が荷物を全て出すので、私たちも従う。(先輩たちは見事な連帯感)
「マユさんの斧は・・・」
「あ、これいつも持ってるので心配なさらず」
「リリィさんのカッターは・・・」
「これもいつも持ってるんです」
 だいたいのメンバーがハンカチやティッシュ、文化祭のパンフレットしか持っておらず無実が証明された。
「それじゃ犯人をさがしたまえ。ミキさん、いきなり叩いてすまなかった」
「いえいえ」
「ただし、見つけられなかったらミキさんとピコさんを破局させる」
「やめてえええええええ!」
 体育館にミキ先輩とピコ先輩の声が響いた。

 とりあえず邪魔にならないよう旧校舎に移動する。午前中に事を済ませ、午後には文化祭を楽しみたい。
 騒ぎを聞きつけリンちゃんたちも合流した。説明をすると
「それはあんまりですね」
とリンちゃんたちは怒った。
「犯人、ねえ。生徒で宝石のこと知ってる人は?」
「校内新聞制作者、愛読者、先生」
「ナオくん、よく知ってるね」
「僕も宝石のことは校内新聞で見たから知ってるよ」
「協力者を呼んできたわよ」
「俺たちも協力するぜ」
 ルコさん、テトさん、テイさん、がくぽ先輩、CULさんの5人が加わった。強力かな?
「宝石泥棒は多分、旧校舎にいるはずだ。なにせ大概の親たちは宝石について知っているらしいからな」
「ああ、なるほど。さすがルコね」
「・・・いえ」
「旧校舎、手分けして捜そうか」
 ルコさんをリーダーとした中等部グループA(レンくん、マユちゃん、リリィちゃん、ダンくん、メルちゃん)は1階、テトさんをリーダーとした中等部グループB(リンちゃん、ラピスちゃん、グミちゃん、いろはちゃん)は2階、テイさんをリーダーとした高等部グループA(私、ハク、ネル、鳥音、杏音)は3階、そしてがくぽ先輩をリーダーとした高等部グループB(ミキ先輩、ピコ先輩、ナオくん、ルカ先輩)はCULさんと一緒に本校舎の職員室へ向かい、メイコ先生たちと合流することになった。
「うーん、しかしボロボロだね」
「仕方ないよ。かなり昔なんだから」
 所々床が抜け落ちてたりして歩きにくい。杏音なんかしょっちゅう落ちかけている。
「いないねー」
「まさか、と思うけど・・・」
「どうしたの?杏音」
「ええとね、ここ住宅街にあるからカラスとかいそうだなって・・・」
「あっ・・・」
 そういえばなぜか窓が開いていた。しかし、宝石はなおしていたはずじゃ・・・。
「文化祭だから理事長も浮かれてた、とか・・・?」
「あーあるある。理事長で見えなかったけど、私たち」

VOCAOID学園 第22話「2人の進路」

「おい、そこのバカップル」
「ん?」
 ミキちゃんと久々にポッキーゲームをしていると、マキさんが呼びにきた。
 僕がマキさんに目をやってると、ミキちゃんが先に食べ終えた。つまり・・・。
「ぬわああああああ!」
 メモを置いてマキさんは疾走した。
「ピコくんっ楽しかったね!」
「うん、そうだねミキちゃん」
 メモを読むと『ミリア先生が職員室横の指導室で待っている』とあった。
「ミキちゃん、これ」
「ん?え、ピコくん、私たち呼び出されちゃったの!?」
「多分そうだよ、ミキちゃん」
 指導室に慌てて行くと、ミリア先生が怒っていた。何事だろ?
「遅い!マキに呼び出してもらって1時間たってる!放送聞こえなかったのかぁ?ああん?」
「ひっ・・・!」
「怖いよぉ、ピコくん」
「大丈夫だよ、ミキちゃん」
「そういうのがイラつくのよ!進路は二人で一緒の大学、だっけ?くだらないわね」
「あう・・・」
 先生は僕らのように付き合っている男女を見るのが嫌だという。職員室か実験室によくこもっている。
「あんたたち別れないの?学園一お付き合いが長いって聞くけど」
「う・・・」
 ミキちゃんが僕にしがみついて震えている。僕がなんとかしなくちゃ・・・!
「先生、それだけですか?失礼します。ミキちゃん、行こう?」
「うん」
 外に出ると、メイコ先生がやれやれという顔で立っていた。傍らにはカイト先生。
「ミリア先生に私たちも怒られたの。『男はくだらないゲスな生き物だ』とか『ただの変態だ』とか散々言われちゃって歯向かえなかったわ」
「まあ中学生の頃の先生でもあるからね」
「昔からああいう性格ですか?」
「いいえ。事件をきっかけに豹変したわ。事件後、立ち直ったのはがくぽの留年2年目。かなり時間をかけて戻り、ハサミを持ち歩くようにもなった。男を避け始めた。まあこれぐらい言えば事件について代々察しはつくでしょ。カイト、そろそろ行きましょう」
「分かった、めーちゃん」
 ミキちゃんがそっと顔を上げる。
「男の人にヒドいことされたんだね、きっと」
「・・・多分」
 

VOCALOID学園 第21話 ハッピー☆サマーバケーション~そうだ、ハワイに行こう!~

「ねえ、お父様。レンくんを連れていってもよろしいかしら?」
「はっはっはっ!構わないよ。マユが好きな人なら尚更だ。もし付き合いだして結婚も考え出したらあちらの家族ともハワイへ行こうではないか」
「それ素敵ね!」
 夏休み。私たちの家族は毎年恒例のハワイの別荘へ行くことに。
「今年はレンくんとのデート中心に計画たてなくちゃ!」
 本当はリリィを連れていく予定だったのだけれど、あちらもあちらで軽井沢へ行くとのことで今年はダメと言ってきた。まあ、私の家も軽井沢に別荘を持っているけれど、毎年8月にはハワイに行くことになっている。理由としてはあちらに祖父のお墓があるので、ということなのだが。
「ねえお父様。14日以外で昼間デートしちゃいけない日ってある?」
「うーんそうだなあ。よし、じゃあ14日の滞在期間中9日間だけデートしてよい」
「きゃ、嬉しいわっ!ありがとう、お父様」
 ああ、ワクワクしちゃう!

「レン、電話」
「ん、ああ。って子機投げるな!」
「じゃ、ラブラブにどうぞ」
 夏休み、珍しく家にいるリンは前みたいに背伸びしすぎた派手な化粧とファッションをしていない。大概家ではなく友人の家に泊まっていたりする。
「もしもし」
『もしもし、レンくん。あの、そのっ・・・夜遅くにごめんね』
「ん、ああ・・・」
 確かに厳しい環境で育ったお嬢様としては10時というのは既に夜遅くなのかもしれない。
「別に大丈夫だよ。まだ風呂にも入ってねえし」
『ふふっ、良かった』
 電話の向こうでマユは喜んでいた。反応が、その、可愛いな。
「で?何の用だ?いつもだったら玄関ぶち破って会いに来るっていうのに」
『ううん、レンくん。直接伝えたらリンちゃんが過剰反応しちゃう内容だからいつもの様に行けないの』
「は?」
『ハワイに2週間滞在するの。でね、お父様に9日間の自由をもらったから、その・・・レ、レンくんとデートがしたいなあって思って』
「!?」
 ハワイ・・・確かに、まともに戻ったリンならば友人やら先輩やら引き連れて俺についてこようとするな。ん?デート?
「デ、デート!?」
『あ、嫌なら断ってもいいのよ。まあ今決めてほしいけれど』
「・・・行くよ」
 なぜか俺は即答してしまった。なぜだろう、前の俺なら断ってたのに・・・。
『ちなみに私の家の別荘はいくつか部屋が余ってるから、私の部屋の隣を確保しておくね』
「ああ・・・」
 別荘にもびっくりさせられるが・・・。
『それじゃあ7日にね』
「ああ、じゃあな」
 意外とすぐだなあと感じた。

「吉田くん、私たちもハワイに行くわよ」
「ええええええ!?ちょ、リリィお嬢様さすがにそれは・・・」
「だって、気になるんだもの!私が、大親友のこの私が断ったら『そっか、じゃあ別の人に訊いてみるよ』なのよ!反応おかしくない!?」
「ま、まあそりゃあごもっとですが・・・」
「お父様の親戚や会社仲間?知らないわ。7日からはハワイよ、ハワイ!」
「ああ、僕の解雇決定ですね」
「まあ学園にも雇われているのだしいいじゃない」
「そ、そりゃまあそうですが、あの」
「何?」
「島根はどうでょうか」
「却下」
 軽井沢にはお父様の会社の人、あと親戚一同が集結するというマユの家より豪華さは劣る。
「さあってとマユはどんな顔するかなあ」
 ふといつものレンくん24時間監視システムを立ち上げる。お風呂あがりのリンちゃんが部屋に入ってきたところのようだ。
『レーン?なあにニヤけてるの?お風呂、あいたよ』
『あ、ああ』
『何々?さっきの。デートのお誘い!?』
『ま、まあそんなもんだよ』
『へえ。マユちゃんとかあ。いいなあ。そりゃ妹として邪魔できないねえ。あとで散々からかってやるからいい土産買ってきてね』
『ヒドいな、それ。それになぜお前はタオルを体に巻き付けた状態で現れるんだ!?』
『ごっめーん!家なんて久々で』
『ったく・・・。じゃあ風呂はいる』
『お土産よろしくー!うぇーい!』
『分かってるから部屋行けよ!』
 私はスイッチを勢いよく切った。マユ、何てことをしてるの?この時期にデートってハワイしか・・・。
 お父様に怒られてもいいから、マユを殺したい。

 7日になった。私はフリルのついた水玉のワンピースをチョイスしてきた。夏らしく涼しさを重視して露出は多め。頭には女優帽。
「よ、マユ」
「レンくん!」
「か、可愛いな」
 早速誉めてもらえた。嬉しい。キュンってなっちゃう。
「君がレンくんだね。おい、使用人。荷物を運んでやりなさい」
「ああ、すみません。ありがとうございます」
「いやいやいいんだよ。はっはっはっ」
「今日はこの時間に飛行機貸しきって行くから心配しなくていいのよ」
「え?」
「ふふっ、心配そうな顔してたじゃない、レンくん」
「そ、そうか?」
 レンくんの場合、私たちの当たり前はきっと通用しないんだろうなあ。それが気掛かり。
「じゃあ行こうか」
 レンくんに庶民の生活を聞いてみる。
「ねえレンくん。学食の値段って気にするの?」
「当たり前だよ。リンと俺合わせて月6万。リンが結構使うからさ、俺結構安いのしか食べられないんだよなあ」
「へえ。やはり、違うのね」
「マユは無制限かあ。いいなあ」
「うふふ。スペシャルネギトロ丼、おすすめよ」
「えっ、それ1000円以上するだろ」
「今度食べさせてあげる」
「お、楽しみ」
 そのあとも雑談をしたりしていたが、眠くなってきた。
「ふわあ・・・」
「あ。眠いなら寝たら?まだだろうし」
「ん、そうね。着いたら起こして」
「わかった」
 レンくん、素敵。

 スースー寝ているマユの寝顔は可愛い。
 リンには旅行のついでって感じと説明した。土産を期待されているので、あとでマユに聞こう。

VOCALOID学園 第20話 ハッピー☆サマーバケーション~そうだ、海に行こう!~

「うへえ、私だけぇ?」
「ミク、頑張って」
「うぅ・・・」
 この学園は勉強熱心ではないため、特に成績の悪い者のみ夏休みに補習があるのだ。ちなみに始業式は9月になってから。
 私はなんとか補習に通う。(夏休み中はネルたちの部屋に泊まらせてもらっている)
 昇降口から冷房が程よくきいた校内に入る。すると、見覚えのあるバカップルを見つけた。
「ピコくん、このあと海に行こうよ」
「いいね、ミキちゃん。水着はビキニ?」
「きゃっ、もう恥ずかしいっ」
「えへへ」
「・・・」
 なぜここに、と思いつつ近づく。
「あの、なぜ2人が?」
「生徒会の打ち合わせだよ。文化委員会委員長ととりあえず仲直りしたいなあって」
「え?」
「去年の打ち上げで予算が削れたのに怒ってたんだよ。ね、ミキちゃん」
「うん」
「あー、なるほど」
 私は代々察した。酒好きな先生も打ち上げに参加したと私は噂に聞いていた。つまり、ほとんど酒代である。
「でもそれなら委員長の家に行けばいいのでは?」
「委員長に連絡したら学校で会おうって返事されたんだから仕方ないじゃん」
「そ、そうなんですか」
「僕らはもう用件すんだから海に行こうよ、ミキちゃん」
「そうだね、ピコくん」
 先輩と別れ私は補習へと向かう。メイコ先生とのマンツーマン。
「B組で補習だなんて本当びっくりよ、ミク」
「メイコ先生以外は・・・」
「全員Cにいるわよ。ほら、さっさととく」
「はぁい」
 補習が終わったのは12時前。今日はずいぶんと早い。
「私も用事があるのよ」
「えっ」
「あらメール・・・んもうっせっかちねえ」
 ダメだこりゃ。先生もリア充の顔をしている。
「で、ではまた」
「ん」
 教室から出るとネルたちが待っていた。
「海、行こうよ!」
 私は即答したけど、スク水しか持っていない。その事実にネルたちはびっくりする。
「今時スク水オンリーなの!?」
「いや、今時って言われても」
「じゃあついでに買ってから行こうよ!」
 リンちゃんが元気よく発言する。うっ、買うの?
「面倒だなあって思わないでくださいよ~」
「そうにゃ」
「そうと決まれば行きましょう!」
 町を歩くが、やはり暑い。すると一台のリムジンが私たちの横で停まった。
「ごきげんよう」
「うわっ、マユちゃん」
「皆様もお出かけ?」
「うん、そうだよ」
「まあせいぜい頑張って」
 そのままリムジンは走り去った。
「ずいぶんとお嬢様だね、さっきの子」
「鳥音、知らないの?マユは聖アリス学園から転校してきたんだよ」
「えっ!?お嬢様・・・じゃん・・・」
「とりあえずそこのショッピングモールに入るにゃー」
「うん、そうだね」
 ショッピングモールは夏一色。水着が売っているところはすぐ見つかった。
「思い切ってビキニは!?」
「リンちゃん、やめて」
「ミク先輩にはこっちが似合いそうですねえ」
「ラピスちゃんまで!?」
「じゃあ、みんなで探そうよ」
「さんせーい!」
 全く・・・と思いつつ、私はこれまで授業以外で水着だなんてきたことがないことを思い出す。
「ああ、どうしよう」
 数分後。皆はそれぞれ水着を持ってきた。
「ね、どれがいい?」
「鳥音のがいいかな」
「え、そう?ビキニ嫌そうだったから選んだんだけど」
「うん、それかわいいよ」
 ミントグリーンのワンピース風のヒラヒラした水着。迷わずそれを選び、買った。
 海に着くと、たくさんの人で賑わっていた。
「さあ、着替えるよ!」
 リンちゃんは淡い黄色のビキニ。ひまわりの柄がリンちゃんらしくていい。
 いろはちゃんは猫柄のビキニ。一体どこでみつけたのか少々謎になる。
 ラピスちゃんは水色のビキニ。ビキニだが、下がスカートみたいになっている。
 グミちゃんは緑色のビキニ。チェック柄が可愛い!
「ネル、ハク、鳥音はまだ?」
「あ、今着替え終わったよ」
 ネルは黄色のビキニ。谷間のところにあるリボンが可愛い。
 鳥音はピンクのハート柄の水着。ちなみに杏音も同じのを持っているらしい。(ワンサイズ上)
 ハクはというと。
「・・・うわお」
 髪色と同じ色。それに紫の水玉。
「何より胸でかい!」

VOCALOID学園 第19話 「がくぽの選ぶ道」

 神威がくぽ、36歳。4月からテトと入れ替わるようにニートとなってしまった。カイトが元々住んでいた家を譲ってくれたから助かった。なにせ、今まで黙っていた両親が「家を出ていけ」と拙者に突然言ったのでござるから。
「ところで、がくぽ。僕を何で呼び出したの?」
 学園の近くにあるカフェ。昼頃のため、色んな人がいる。
「拙者のこれからを・・・相談したいのでござる」
「え?僕の仕送り金じゃ足りなかった?」
「6万円は結構な額でごさるぞ」
 あの学園の給料システムがよく分からぬが、メイコとカイトのお給料を合計すると結構余裕があるらしい、と拙者は聞いている。
「ただ、拙者はこのままだと結婚も出来ず、両親から縁を切られるでござる」
「んーそっかあ。僕は結構ギリギリまで大学悩んだんだよね、懐かしいなあ」
「結局どうやって決めたのでござるか?」
「めーちゃんも優柔不断だったんだけど、僕たちはとりあえず大学行こう、って決めたんだ」
「なっ・・・」
「それで、『音楽教師かあ、面白そう』ってノリで・・・学部を・・・」
「全然参考にならないでござる」
「あはは、でもとりあえず趣味から自分の行きたい大学決めたら?学園の大学には出入り禁止だからそれ以外で」
「うむ」
 カイトは先程からこのカフェの看板商品・スペシャルアイスを堪能している。めーちゃんには止められててねえ、とノロケつつ。
「あ、カイト先生」
「おやマキさん。皆さんお揃いで」
「うっ」
 皆さん?ということは・・・。
「うわ、留年男、うわ、キモッ」
「ささら、言いすぎ」
「そうだよ」
「いいじゃないかつづみ。これぐらい言わないと」
「・・・」
 改めてやってきたメンバーを紹介すると、中央にいるのが弦巻マキ。若干口調がキツい。
 そしてその左横にいるのがさとうささら。さらに物言いはキツく、なぜか拙者に対して毒舌が流暢になる。
 ささらの左横でささらをなだめるのがすずきつづみ。彼女についてはよく知らぬ。
「マキさん、早いですって」
「吉田くん、君が遅い」
「あんまりじゃないですか」
 息を切らしてやってきたのはマキと同じくらいの古株・吉田くん。下の名前はジャスティスとかいろんな噂がある。
 ささらは拙者を睨みながら話し続ける。
「それで、留年男。何してる」
「拙者の将来をカイトに相談してたでござる」
 はあ?とささらが呆れた感じで言う。お願いだからこれ以上睨まれるのは・・・。
 するとささらの横でつづみがあ、と声をあげた。(しかも笑顔)
「ささら。この人の料理って美味しいらしいよ」
「え?そうなの?」
「つづみが言ってるとおりなら、料理家とかどうかな」
「おお、マキ殿ありがとう」
「いいえ。さ、私たちはあっちの席に座るとしよう」
 料理。それは二回程人に振る舞った。
 最初はメイコ。お誕生日に、とクッキーをあげたが細々と「ありがとう」としか言われなかった。(当時のメイコは今と真逆)黒歴史に近い。
 2回目はテイ殿。「腹へったから何か作れや」などと体育祭練習後に言われ、テイ殿のためにケーキを作った。テイ殿は大喜びでケーキの写真を撮り、拡散した。美味しいと言ってくれたかは覚えていないが、拡散した際に美味しいとでもコメントをつけたのであろう。
「さて、そろそろ帰らないとね。お昼終わっちゃうし」
「ああ、そうだな」
 すると、見かねたようにメイコが現れた。相変わらずの露出多めな服である。
「バカイト、早く帰らないと雨が降りだすわよ」
「わかった、めーちゃん」
 メイコは腕をカイトの腕にしっかりとからめていた。
 拙者は、もう諦めるべきなのか。

「うわ、おあつい」
「え?何々?」
 窓から下を見ると、メイコ先生がカイト先生とぴったりくっついて歩いてた。
「授業開始する前にわざわざ出ていくぐらいだからねえ」
 ネルはニヤニヤしている。鳥音は首をかしげている。
「あの先生たち、付き合ってるんですか?」
「うん、そうだよ。ね、ハク」
「う、うん。結婚するんじゃないかな」
 『授業開始しま・・・あ、大事なものを忘れてたわ!とってくる!』とメイコ先生は言い残し、あっという間に出ていった。大事なものと言いきるのだから、結婚はしちゃうかも。
「へえ、いいなあ」
 杏音が近づいてくる。
「いい加減にして!!!」
 杏音が叩かれた音が教室内に響いた。