メガミ様 第一話 行方不明─9月27日~9月28日朝─ side.叶
私は優太にメッセージを送り、美佳の住むマンションに向かう。美佳は私や遥香の親友。家出した遥香と一緒にいたらしい。でも、その遥香が昨日からいないとか。
「美佳、私だよ、叶だよ」
「あ、叶」
美佳はいつもの笑顔ではなく、疲れた顔をしていた。側にいてあげないと。
「美佳。今日は泊まるから」
「ありがとう。──遥香、どこに行ったのかな」
「捜しに行くとか言いかねないから側にいるね」
「すごく助かる……」
2年前の事件により、元3-2のメンバーは大半が高校に行けていない。噂によれば、転校しても上手くいかなかった子もいるとか。
美佳もそうで、母親とここで二人で暮らしている。母親は夜遅くまで働き、美佳をサポートしている。
「小泉茉莉愛がまさか今更殺されるなんてね……」
「そういえば、加護愛梨と流翼とつるんでいたっけ? 」
「3人は主に金銭の巻き上げ担当だよ。2人は2年前に殺されたけど」
「へえ」
私は遥香とお昼休みによく会っていたし、噂はよく聞いていた。やたらと静かな教室。教師も淡々と授業をしていたらしい。
男子はこういう噂をまったく耳に入れない。あいつもそうだ。誠の親友じゃなければ話だってしたくない。
「怖くて昨日帰ってきてから外に出れてないの」
「そうだよね。よし、お昼ご飯にしよう」
「久々の叶のご飯! 嬉しいよ」
少しだけ笑顔が戻った。よし。美佳の好きなスパゲティを作ろう。
昼食後も、私達は明るく過ごそうと努力した。遥香に悪いから。だから明るく振る舞った。
翌朝。学校があるので早起きすると、美佳がいなくなっていた。美佳は学校なんてない。なのに……。
「どうしよう、探さないと」
私は無断欠席して誠に心配かけたくないのでLIMEする。少しキツいから、と。
私はとりあえず、美佳のマンション付近を捜した。東通りをうろつくが、小学生とかサラリーマンしかいない。私服姿の高校生なんているはずもない。
どこなの、美佳!