暗黒~黒の王と赤の姫君~ 1
ここはどこだろう。ああ、風が心地よい。私の故郷のようだ。
私?ああ、思い出せない。全てを―
「あら、お目覚めですか?」
「・・・君は?」
「あらあら、困りましたねえ・・・。改めまして、私は赤の国と呼ばれるトーシア王国の姫、タラートです。敵国の王を助けているんです。感謝してくださいね」
「・・・私は誰だ」
「はあ。お父様を呼んできますわ」
きらびやかな室内。シンプルに飾れた調度品。見たような気がするな・・・。
「うむ。黒の国と呼ばれるサンア国の王様、ドッチェンヌがな・・・」
「・・・私の名か」
「ああ。まったく。少し休むとよい」
俺は、もう少し休むことにした。