女戦士と猫 第二話「過去」
早速特訓が始まった。変態たちは作戦会議と称して酒場に行ったため、カナが指導してくれることに。本当に役立たずだな、あの変態達。
「シリウスは戦士たちが扱う剣の中で一番身軽でさ、危ないんだよね。まあでも特訓すればきっと大丈夫」
「きっとって……」
特訓すればするほど、腕があがるものの、変態たちは帰ってこない。──帰ってきたら殴ろう。
「シリウス、残していて良かった」
「え?」
「シリウスっていう女性がいたわけ。彼女、あの魔王みたいなのにやられて灰になったけれど、この剣は残った」
「きっとかっこよかったんだろうな」
「うん、すごくかっこよかった」
休憩ということで街をうろついてみた。やってきてから街を初めてじっくり見ることとなる。
─どうしてなの
また、頭が痛む。何だろう、この声。
「あれ、日記?」
声がした廃墟に落ちていたのは日記。開いてみた。
『今日はカナの誕生日。剣士になってろくに祝ってないでしょうから、盛大に祝わなくちゃ』
『カナ、喜んでくれたわ。もう悔いはない。例え気づいてなくてもね』
日記の表紙にはシリウスと書かれていた。
私が顔をあげると、女性がいた。──また、見えたのね、幽霊。
「あなたは誰?」
《シリウス。カナの生き別れの双子の姉》
「あなたが、シリウス」
《その剣、使ってくれてありがとう。亡くなった父の手作りだからカナが使うべきなんだけどね。カナは、何も知らないから》
「──そうなんですね」
私には幽霊が見える。時々会話までしてしまう。
「そろそろ戻ろうかな」
シリウスさんが笑顔で消える。日記のことは黙っておこうかな。
戻ると、カナさんが紅茶をいれて待っていた。
「ねえ、フィーナ」
「何?」
「どういうところに住んでいたの?」
「自然豊かで、皆が仲良しな村」
「いいなあ。私なんて小さい頃からこんなんだもん」
「確か、同じ孤児院出身なんだよね? 」
「うん。シリウスさんはそんな私達を引き取ってくれたの。国に尽くす剣士とか魔法使いの訓練所の宿舎の管理人で、私達3人以外にもたくさん。──でも、ほとんど死んだの。生き延びたとしても戦う気力なんて、皆にはもうない。ルゥ達もそう。私だけ真面目に毎日訓練していて、ほとんどずっと喧嘩ばかり」
「それで、ルゥさんはスカウトを……」
「ええ。あなたならば、きっと大丈夫よ」
結局、ルゥさん達は夜遅くなっても帰ってこなかった。カナさん曰く、これは毎日のことだから気にしないで、と。
──このままで、国を救えるの?