メガミ様 第二話 連続殺人事件─9月27日~9月28日朝─ side.優太
昨日、殺されたのは元3-2の小泉茉莉愛。彼女はいじめグループのメンバーで、当然のごとく元3-2メンバーは警察に呼ばれたらしい。しかし、いじめグループはけろりとしていたものの、それ以外の子たちは2年前のことを思い出し泣いたり吐いたりと大騒ぎだったらしい。
──このことは篠原からLIMEで聞いた。怒っているようで、直接会う気はない、と締めくくられていた。
「誠。遥香に疑いはかからなかったのか? あの場にいなかったし、アリバイもない」
「警察も昨日のそれ以外のメンバーの様子を見て絶対違う、と確信したらしい。それ以外のメンバーは元いじめグループに会ったり思い出したりするだけで吐き気がするとのことだ。遥香は特にヒドいってさ。精神科に通っていたらしい」
「へえ」
篠原は怒っていたが、誠は全然違った。そのため、中央通りからかなり離れた誠の家にお邪魔している。母さんも安心だ。
「遥香……無事だといいな」
「お前ら付き合えばいいのに」
「遥香は俺みたいな男は好みじゃない。幼なじみから進めはしないさ」
「へえ」
ニヤニヤした顔つきで見てくる誠。何でそんなにくっついてほしいんだ?
遥香の好みはスポーツのできるイケメン。だから絶対俺じゃない。
「殺人事件が起きてるからうろついたら危ないし……」
「お前の母さんは心配性だからな」
「……あ、ああ」
「出来ることと言えばこれ以上探らないことだ」
「……は? 」
「叶が怒っていたのはお前の2年前の態度のことだ。女子は女子の世界があるとはいえ、お前は幼なじみが傷ついているのに気づかなかった」
「……そう、なのか? 」
「ああ」
つまり、篠原は俺に探る資格はないと言っているのだ。幼なじみである俺は頼れない、と。
その後、気まずくなり、俺は誠の家を出た。住宅街を抜けたところにある西通りは活気あふれる町のはずだが、中央通りの殺人事件を考慮してか店は閉まっているのが大半。
「犯人は捕まっていないわけだから早く帰らないと怒られそうだ」
自転車に乗り、さっさと家に戻る。俺は卒業アルバムを引っ張り出し、改めてきちんと3-2を見る。
──集合写真が、ない。個人個人の写真もないのが大半で、いじめグループに属してそうなチャラい感じの奴らは笑顔で写っている。
(遥香はよく見ると笑顔ではなく、作り笑いだった)
「……書き出してみるか」
『・網島省吾
・磯部久友
・植村庄司
・小泉茉莉愛
・白魚菜々
・不知火灯
・瀬尾梨々花
・西内茜
・西口研吾
・南田琢磨』
──たぶん、人数的にいじめグループだろう。しかし、写真は違和感があった。9月頃撮ったはずなのに10人は夏服じゃなかった。他の人もそうだ。
「そんなにいじめはひどかったのか? 」
気になるばかりだった。
翌日。学校を休みたい気分を堪え、学校に行くとなぜかクラスの女子にいきなり手を引っ張られ、体育館の陰に連れて行かれた。
「ねえ、土谷君。2年前のことを探ってるんだって? 」
「あ、うん……」
「ほんと、やめてくれないかしら」
「……どうして? 」
「まあ、私のことを忘れたのね。水島香織。中学校一緒だったじゃない」
「……そうだっけ」
「とにかく、関わらないで。全てを知って絶望するのはあなたなのだから」
「え」
「私は何となく察してるけど、あなたなら吐きかねないわね」
そう言い残し、彼女は去った。なぜ、ここまでして止めるのだろうか。