VOCAOID学園 第22話「2人の進路」
「おい、そこのバカップル」
「ん?」
ミキちゃんと久々にポッキーゲームをしていると、マキさんが呼びにきた。
僕がマキさんに目をやってると、ミキちゃんが先に食べ終えた。つまり・・・。
「ぬわああああああ!」
メモを置いてマキさんは疾走した。
「ピコくんっ楽しかったね!」
「うん、そうだねミキちゃん」
メモを読むと『ミリア先生が職員室横の指導室で待っている』とあった。
「ミキちゃん、これ」
「ん?え、ピコくん、私たち呼び出されちゃったの!?」
「多分そうだよ、ミキちゃん」
指導室に慌てて行くと、ミリア先生が怒っていた。何事だろ?
「遅い!マキに呼び出してもらって1時間たってる!放送聞こえなかったのかぁ?ああん?」
「ひっ・・・!」
「怖いよぉ、ピコくん」
「大丈夫だよ、ミキちゃん」
「そういうのがイラつくのよ!進路は二人で一緒の大学、だっけ?くだらないわね」
「あう・・・」
先生は僕らのように付き合っている男女を見るのが嫌だという。職員室か実験室によくこもっている。
「あんたたち別れないの?学園一お付き合いが長いって聞くけど」
「う・・・」
ミキちゃんが僕にしがみついて震えている。僕がなんとかしなくちゃ・・・!
「先生、それだけですか?失礼します。ミキちゃん、行こう?」
「うん」
外に出ると、メイコ先生がやれやれという顔で立っていた。傍らにはカイト先生。
「ミリア先生に私たちも怒られたの。『男はくだらないゲスな生き物だ』とか『ただの変態だ』とか散々言われちゃって歯向かえなかったわ」
「まあ中学生の頃の先生でもあるからね」
「昔からああいう性格ですか?」
「いいえ。事件をきっかけに豹変したわ。事件後、立ち直ったのはがくぽの留年2年目。かなり時間をかけて戻り、ハサミを持ち歩くようにもなった。男を避け始めた。まあこれぐらい言えば事件について代々察しはつくでしょ。カイト、そろそろ行きましょう」
「分かった、めーちゃん」
ミキちゃんがそっと顔を上げる。
「男の人にヒドいことされたんだね、きっと」
「・・・多分」