神崎美柚のブログ

まあ、日々のことを書きます。

VOCALOID学園 第19話 「がくぽの選ぶ道」

 神威がくぽ、36歳。4月からテトと入れ替わるようにニートとなってしまった。カイトが元々住んでいた家を譲ってくれたから助かった。なにせ、今まで黙っていた両親が「家を出ていけ」と拙者に突然言ったのでござるから。
「ところで、がくぽ。僕を何で呼び出したの?」
 学園の近くにあるカフェ。昼頃のため、色んな人がいる。
「拙者のこれからを・・・相談したいのでござる」
「え?僕の仕送り金じゃ足りなかった?」
「6万円は結構な額でごさるぞ」
 あの学園の給料システムがよく分からぬが、メイコとカイトのお給料を合計すると結構余裕があるらしい、と拙者は聞いている。
「ただ、拙者はこのままだと結婚も出来ず、両親から縁を切られるでござる」
「んーそっかあ。僕は結構ギリギリまで大学悩んだんだよね、懐かしいなあ」
「結局どうやって決めたのでござるか?」
「めーちゃんも優柔不断だったんだけど、僕たちはとりあえず大学行こう、って決めたんだ」
「なっ・・・」
「それで、『音楽教師かあ、面白そう』ってノリで・・・学部を・・・」
「全然参考にならないでござる」
「あはは、でもとりあえず趣味から自分の行きたい大学決めたら?学園の大学には出入り禁止だからそれ以外で」
「うむ」
 カイトは先程からこのカフェの看板商品・スペシャルアイスを堪能している。めーちゃんには止められててねえ、とノロケつつ。
「あ、カイト先生」
「おやマキさん。皆さんお揃いで」
「うっ」
 皆さん?ということは・・・。
「うわ、留年男、うわ、キモッ」
「ささら、言いすぎ」
「そうだよ」
「いいじゃないかつづみ。これぐらい言わないと」
「・・・」
 改めてやってきたメンバーを紹介すると、中央にいるのが弦巻マキ。若干口調がキツい。
 そしてその左横にいるのがさとうささら。さらに物言いはキツく、なぜか拙者に対して毒舌が流暢になる。
 ささらの左横でささらをなだめるのがすずきつづみ。彼女についてはよく知らぬ。
「マキさん、早いですって」
「吉田くん、君が遅い」
「あんまりじゃないですか」
 息を切らしてやってきたのはマキと同じくらいの古株・吉田くん。下の名前はジャスティスとかいろんな噂がある。
 ささらは拙者を睨みながら話し続ける。
「それで、留年男。何してる」
「拙者の将来をカイトに相談してたでござる」
 はあ?とささらが呆れた感じで言う。お願いだからこれ以上睨まれるのは・・・。
 するとささらの横でつづみがあ、と声をあげた。(しかも笑顔)
「ささら。この人の料理って美味しいらしいよ」
「え?そうなの?」
「つづみが言ってるとおりなら、料理家とかどうかな」
「おお、マキ殿ありがとう」
「いいえ。さ、私たちはあっちの席に座るとしよう」
 料理。それは二回程人に振る舞った。
 最初はメイコ。お誕生日に、とクッキーをあげたが細々と「ありがとう」としか言われなかった。(当時のメイコは今と真逆)黒歴史に近い。
 2回目はテイ殿。「腹へったから何か作れや」などと体育祭練習後に言われ、テイ殿のためにケーキを作った。テイ殿は大喜びでケーキの写真を撮り、拡散した。美味しいと言ってくれたかは覚えていないが、拡散した際に美味しいとでもコメントをつけたのであろう。
「さて、そろそろ帰らないとね。お昼終わっちゃうし」
「ああ、そうだな」
 すると、見かねたようにメイコが現れた。相変わらずの露出多めな服である。
「バカイト、早く帰らないと雨が降りだすわよ」
「わかった、めーちゃん」
 メイコは腕をカイトの腕にしっかりとからめていた。
 拙者は、もう諦めるべきなのか。

「うわ、おあつい」
「え?何々?」
 窓から下を見ると、メイコ先生がカイト先生とぴったりくっついて歩いてた。
「授業開始する前にわざわざ出ていくぐらいだからねえ」
 ネルはニヤニヤしている。鳥音は首をかしげている。
「あの先生たち、付き合ってるんですか?」
「うん、そうだよ。ね、ハク」
「う、うん。結婚するんじゃないかな」
 『授業開始しま・・・あ、大事なものを忘れてたわ!とってくる!』とメイコ先生は言い残し、あっという間に出ていった。大事なものと言いきるのだから、結婚はしちゃうかも。
「へえ、いいなあ」
 杏音が近づいてくる。
「いい加減にして!!!」
 杏音が叩かれた音が教室内に響いた。