神崎美柚のブログ

まあ、日々のことを書きます。

魔法学院探偵部 第5話「謎の恋文事件」

 穏やかな日々が戻った。新学期も始まった。私のスマホにはしばらく先輩から連絡が来ていない。
「心配?」
「ん、まあねー。恵美子こそどうなの?」
「最近、読めてなかった推理もの全部読めちゃった。それぐらい暇になっちゃってさあ」
 恵美子とは毎日一緒に登校するぐらい仲良しになっている。
 私はいつもどおり下駄箱を開けた。すると見慣れない手紙があった。
「ふぇ!?」
「それ、ラブレターだよ!きっとね」
「うん、だろうけどさあ」
 誰からなのかさっぱり。私は普段先輩以外との交流をなるべく避けている。姉に言われたからだ。
「教室に行って開けようよ」
 教室につくと、私が交流を避けているクラスメイトたちがいた。彼らは私たちに見向きもしない。
 とりあえず手紙を開ける。
「すごい綺麗な字だなあ。うーん、誰からかなあ」
「バカエデに恋文!?」
 後ろからひょいっと手紙をとられる。振り向くと先輩だった。
「なななな何で先輩!?」
「最近会ってないけん」
「そ、そりゃあそうですけど」
「あれ?楓さんもその手紙貰ったの?」
 クラスメイトで唯一私の名前をはっきり覚えてくれた子が話しかけてきた。
「あ、うん。沙織さんも?」
「ええ。あ、でも私だけじゃないの。他の子もよ」
 私と比べ美人な子たちがやってきた。ひえええ!誰!?
「練磨さんのこと聞いてくるわ!男子の中でどういう位置付けなのか」
 沙織さんがそう言うと先輩は鼻で笑った。
「どうせ低評価やろ」
「あ?」
「すみません」
 恵美子が脅す。これじゃどっちが先輩?
 しばらくすると沙織さんが戻ってきた。
「いばらに覆われた高嶺の花と男子たちが言っていたわ」
「ええ!?」
「何!?」
 私が高評価!?なななな何ですって!?
 先輩はため息をついている。
「本当なのか?怪しいぞ」
「・・・確かに『いばらに覆われた高嶺の花のようなあなた』っていうのが多用されていますよ先輩」
「なぬ!?これは事件だな」
 沙織さんが会釈して去る際、先輩に何か耳打ちしたようで、先輩が真っ赤になっている。何?
「ま、まあとにかく。今日は久々の事件だ。とりあえず男子に・・・」
 そこに誰かがやってきた。鬼瓦だっ!
「ごらあっ!4年生は出てけぇっ!」
「あ、はい!すみませんっ」
 今年も担任がこいつかあ。
「さ、今年もよろしく」
 担任は守ったぜ!という顔をして教卓へ。バカだ。
「今年は若干クラスメンバーを変えている。まあよろしく」
 私は寒気がした。誰かに見られている・・・?
 担任の長話後、私は男子に囲まれた。た、担任の嘘つき!
「か、楓ちゃんだよね!?近くで見るともっとかわいいよ!」
「楓ちゃんかわいい!」
 などなど。私を称賛する言葉ばかり。しかしてめえらの目線が主に私の胸にいってるのは分かってるのよ!
 それでも私は愛想笑いしか浮かべれなかった。

 放課後。恵美子によると、私達のクラスは『諸事情』で他のクラスに移りたいと望む人(主に女子)がいたため、入れ替わりが激しいらしい。
「ハズレくじひいたね、楓」
「本当、最悪」
 部室に着くと置き手紙があった。
「えっ!?決闘!?」
 なんと『決闘に行くけん』というメモが机にあるだけ。ま、まさか・・・。今朝私を侮辱しまくった先輩を恨んでいる私のファンが?
「春休みだから騒ぎなかったけど楓、忘れてた?」
「いや。私今まで気にしなかったし」
 とりあえず待ってようということになり、各々持っているミステリー本を読むことに。しかし私は落ち着かない。
 今朝の熱い視線。男子からだろう。しかし私はなぜ今まで気にしなかった視線が気になるのかな?
「か、楓・・・」
「先輩!?だ、大丈夫ですか!?」
 どうやらスポーツ系男子にふるぼっこされたようでボロボロだった。
「こんなことしたの誰?」
「楓様を守るんだ!、ってほざいてた男子たちだ・・・」
「・・・来年は最高学年なのに。だらしない男子。それより先輩。保健室行きましょうよ!肩を・・・」
 すると私を抑えて恵美子がひょいっと先輩に肩をかす。
「楓がかすとね、また騒ぎになるよ」
「ごめんね」
 とりあえず私達は保健室へ。先生に散々怒られるはめになったけど、私をめぐってだなんてとても言えない。
「とんでもない目にあった・・・」
「これに懲りて侮辱をやめてくださいね」
「嫌」
「えーっ」
 すると男子たちが急に現れた。私ねファンか・・・。
「楓様に何している!?」
「そこどけ!」
「このバカ男子!楓の入っている部活の部長よ!彼氏じゃない!」
 恵美子が私より先に怒鳴った。まさしく鶴の一声!
「さ、行こ」
 部室に着くと一人の男子がいた。
「すみませんでした!!断られると知っておきながら・・・」
「こいつが最低男ね」
「う、うんそうなの?」
「バカエデ、怒らないのか?」
「ラブレター貰えて嬉しかったもん」
 私は笑顔になった。