神崎美柚のブログ

まあ、日々のことを書きます。

VOCAOID学園 第11話「クリスマス会~恋の行方~」

「めーちゃん、教師なのにそんなに飲んでたらまずいよ」
「いいって」
「飲みすぎですよー!」
「CULの言うとおりですよ。私もそう思います」
 私やカイト、がくぽは「U」のメンバー(重音テト、CUL、健音テイ巡音ルカ)と共にこのクリスマス会を楽しんでいた。
「やあ!」
「あ~らソニカ~」
「ううっ私、もう我慢できない!私も酒飲む!」
「あーソニカ殿まで」
 ほろ酔い気分の私は包帯を頭に巻いたキヨ先を見つけた。
「はあい、キヨ先!」
「ああ、この度はどうも。そういえばユキさんたちはどこへ・・・」
「えー?見失ったのぉ?」
「あ、ええと、はい、すみません」
 すると近くにいたマユたちが
「モミの木に行こうよ!」
と言い出した。まさか・・・。
「ちょっと私、気持ちにけりつけてくるわ」
「あ、うん」
 パーティの日はさすがにCクラスとの交流が許されており、ちらほらと楽しそうな光景が目にうつる。
「うおっし、飲み比べよ!メイコ!テトさん!」
「やる!」
「望むところよ!」
 ソニカ、テトとの酒飲み比べが始まった。

 モミの木の下。3人の女の子・マユ、リリィ、テイさんが恥ずかしそうにしている。
 マユから告白が始まった。
「リレーでかっこよく走るレンくんを見て、私同性愛から異性愛に目覚めたのよ。それで、いつか転校したいなあって話してたら私殺人未遂起こしちゃって。そんな私でも受け入れてくれてすごい優しいなって。イアみたいに優しいなって。私、そんなレンくんが大好きなんですわ!」
 次はリリィ。
「私は初等部から一緒で頭がいいレンくんに初恋したのは転校してきた時。すごいイケメンに会ったって思って。急に大好きな芸能人がレンくんに負けているような気がして・・・。それでポスターとか他の子にあげちゃった。それぐらい私は想っているの。大好きよ、レンくん」
 最後にテイさん。
「レンくんのことは昔から知っているわ。近所だったから。すごいいい子で、惚れたのは私が中2の時。周りの男子がとても馬鹿馬鹿しいなって感じながら帰っていて純粋なレンくんが話すただの学校生活が魅力的に感じてこの学校に来たのよ。もちろんレンくんと話すため。でも話せなかった。それでも私はレンくんが大好き!」
「・・・」
 誰を選んでも誰かが傷つく。それは当たり前。どうしよう。
「ありがとう。ごめん。でもいつか答えは出してみるよ」
「でもレンくん!私は無理なんでしょう!?」
「テイさん・・・」
「私のことすっかり忘れているもの!それに、年離れているし・・・さよなら!」
 テイさんが去った。マユが一番に近づいてきた。なぜか顔が赤くなる。
「あっ、ごめん私トイレ」
「えーもうリリィったら」
 もしかして俺・・・。

 レンくんの気持ちはマユに傾いているの!?どうして?どうしてよ!私が一番尽くしてきたじゃない!ひどい、ひどい!
 私がいなくてもいいんだろう。パリ行きやめたけど、高校生になったら行くべき?
 でも、マユともっと一緒にいたい。弱気にならないで、私!まだチャンスはある!
 それに一回断ってるし、もういいや。パーティに戻ろう。

 デルさんは告白したいという女の子に囲まれモミの木へ(レンくんたちも)、ピコ会長とミキ副会長は論外、メルちゃん、ダンはよくわからない、。つまり生徒会メンバーはナオくん、ハク、ネル、私しか集まっていない。
「これおいしいですよ~」
「ええ!?本当?」
 ネル、ナオくんは食事を満喫している。
「ミク、そんなにピリピリしなくてもいいよ。どうせお嬢さんたちはレンくんと一緒だろうし」
「ん、そりゃそうだけどさー」
 マユの過保護すぎる父親(親バカとも言う)が『SPを雇おうとしたが愛娘に断られたので生徒会さんに警備してほしい』と校長に電話してきたらしい。リリィも一応令嬢なので何かないよう監視しなければならない。
「あ、どうもミク先輩」
「あれ?珍しいね。リリィちゃんいないなんて」
「トイレだそうで」
「まさか1人!?」
「あああああ!ご、ごめんなさい先輩!私も誘拐されたことあったのに・・・リリィのこと考えてませんでした!」
 マユちゃんが慌てている。そうか。誘拐された経験あるのか(よくないけれど)
「めーちゃん、飲みすぎ!」
「メイコ殿、ソニカ殿、テト殿おあいこでござる」
 聞き覚えのある声がする。パーティ会場の中央に設けられた先生の席。そこでメイコ先生、ソニカ先生が酔っぱらっているよう。
「呆れるよー恋人とか困らせておいて」
「へへへ~」
 困った酔っぱらいだ。

「ユキ、リュウトくんの気持ちしりたいなー」
「えっ、あの、その」
 近くで声がする。でも、私も相談を・・・。
「んだよ、メル」
「あのね、そのっ・・・私、ナオさんのこと見るとなーんかドキドキするんだよね」
「そんなこともわからねえとか馬鹿じゃねえの?」
「うっ」
 そこへ生徒会のミク先輩、ネル先輩、ハク先輩、ナ、ナオさんがやってきた。
「ねえリリィ見てない!?」
「え?どうしたんですか」
「トイレ行くって言って戻ってきてないのよ」
「はっ、なんでそこまで心配すんだよ」
「あの子は令嬢さんなんだよ?ダン、知らないの?」
「は?本当か!?」
「うん。大丈夫かなあ」
 しばらくすると悲鳴が聞こえてきた。
「きゃーっ!」
「あれって・・・」
「会長たちの・・・」
 案の定、駆けつけると2人が抱き合い、震えていた。
 なんとリリィが倒れている。血が出ている。
「ピコくん怖いよぉ」
「ミキちゃん、大丈夫だよ♡」
「ピコくん♡」
「ミキちゃん♡」
 以下略。
「カイト先生を呼ぼう。あと救急車も」
 パーティはあと数時間で終わる。中止にはしないで!

 パーティは中止にならなかった。でも生徒会メンバー、カイト先生は警察に寮の共同スペースに呼ばれた。
 リリィは意識を取り戻したが、出血多量で病院行きに。
「いたた・・・。何で私なんかを撃つのよー」
「仕方ないじゃない私たちは令嬢なんだから」
「ミキちゃん、警察が来たよ」
「あ、うん。ピコくん、私たち事情聴衆受けるのかなあ?怖いよー」
「大丈夫だよ、ミキちゃん♡」
「ピコくん♡」
「ミキちゃん♡」
「第一発見者はあなたがたですか」
 ナイスタイミング。
「はい!僕は歌手音ピコです!ミキちゃんの彼氏になって4年目です!僕らモミの木がよく見えるところを探していたんです」
「そこでキスしようって♡きゃっ♡恥ずかしい!」
「・・・それで、リリィお嬢様を」
 リリィの執事まで出てきた。うわあ、無駄に金持ち。
「はい!あ、誰か倒れているなあって思ったらミキちゃんがちだまりで僕の方に倒れてきて・・・」
「私すべっちゃったの・・・でも大好きなピコくんが受け止めてくれたから・・・♡えへへ♡」
「そのあとミキさんは悲鳴をあげ、ミクさんたちが駆けつけたんですね」
 私は頷く。
「はい。とは言えどもネルやナオくんは食事してましたし、ハクものんびりしていたから・・・。私が一番に」
「ほう。そういえばリリィさんが襲われる前に見たのは」
 マユが泣きそうな顔で手をあげる。
「私やレンくん、テイさんです。テイさんはパーティ会場でやけ食いをしていると思いますが。私やレンくんはリリィがトイレに行く、と言った時令嬢であることをすっかり忘れてて・・・」
 私はおや、と思った。
「おかしいよ。リリィが倒れてた場所ってトイレから遠いし、そもそもパーティ会場にも若干遠いし・・・」
「え?」
 私は常備している地図を見せる。
「リリィが倒れていたのは体育館から離れた旧校舎のそば。使うよう言われていたトイレは体育館です」
「ううむ、それは我々の方で調べよう」
 もうすぐパーティーではラストのゲストが登場する時間だ。急がないと。

「ゲストはもうすぐメジャーデビュー!「U」の4人です!」
 ルカ先輩やテイ先輩までメンバーのようだ。流石に、メイコ先生と同じような色気を感じれない三十路が・・・ミニスカって・・・。
 歌が終わり、文化祭のフィナーレ。ああ、もう終わっちゃうのか・・・。
『このモミの木はあすまで飾ります』
「おおっ!」
 美しいモミの木にすっかり私はうっとりしてしまった。